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よくできたライトノベルだった。一見ただの平凡な学生は実は世界を股にかける軍人だったという設定はそれほど斬新ではない。が、彼が平穏な学生生活のなかに入り込み、急に日常から非日常への転換していく様はうまくかけていると思う。主人公の相良は無口で、感情豊かとはいい難いので、ボーイーミーツガールの少女側の視点が多いのも頷ける。突然やってきた女の子が戦闘機乗りっていうイリヤの空と性別が逆転している。戦う美少女が流行る今とは良い対比になっているかな。
話は一段落はしているが、回収されていない伏線がかなりあるので今後の展開が楽しみ。
余談だが、主人公のライバルのガウルンはたぶん死んでないんだろうなぁ。
らきすたでかがみがガウルンと相良の同人誌読んでたってことは一冊目で死ぬような
キャラじゃないんだろうし。
baldr sky dive 1
前作baldr force exeの世界観を踏襲した新作baldr sky dive 1。
科学が今よりかなり発達した未来の話で、特に一部のAIが人間と区別がつかなくなり、
ネット空間では人間が直接脳とダイレクトにつなげて、感覚器官すべてがネット空間と双方向に通信できるという、とんでもない世界である。攻殻機動隊よりも当たり前だが、ファンタジー色は強くなっている。
前作同様、仮想空間でロボットを操って、どのヒロインと仲良くなるかでシナリオのルートが変化し、巨大組織の陰謀の謎に迫っていくというものである。残念ながらタイトルからもわかるとおり、物語の前編しかプレイできないので、回収されていない伏線が残ったまま終わることになる。後編は楽しみだけど、あまり待たせないでほしいところだ。
まだプレイ途中だけど気になったことがあったのでメモ。シナリオはこいとれの人。
作中のセリフに次のようなものがある。
「そりゃ、原理が不明なのが非科学的ってことなんだから」
このセリフには異議をとなえたい。シナリオを書いた人もおそらくそう思ってるのかどうかわからないけど、原理がわからないことはむしろ科学にもなる。超伝導の仕組みが完全には解明されていないにもかかわらず、超伝導が科学の範疇であることからもわかる。非科学的なものは何かと問われたとき、まずは科学とは何かについて考える必要があるが、検証可能性だのなんだの難しいことになってしまう。しかし少なくとも原理が不明なものは、必ずしも非科学的ではない。原理というものを考えようとする時点で、それは科学にさえ成りえる。