ヒトカタノオウ体験版[ゲーム]

緑豊かな田舎の町での主人公と少女の幼い頃の思い出を主軸に、日常から非日常の世界へと移り行く伝奇ノベル。
・・・説明が下手くそなのでオフィシャルから引用。

それは夏の夜の夢から始まった。

欠けてしまった夢の中で覚えているのは、ほんの僅かな幼い思い。
吊り橋が揺れる対岸で、真白の髪の彼女が寂しげに微笑んだ。
伝えなければいけない言葉を捜しているうちに、ふと目が覚めてしまう儚くも血に塗れた夢。
夢が意味することが何なのか、それすらもわからぬままに、主人公は夏の巡りを夢で知る。
ようようにして思い出せたのは、ミズハという少女の名前。
歪なその夢は、年月を重ねるごとに鮮明になっていた。


何も知らず、何もわからないまま、主人公は日々の日常を生きていた。
屋敷を取り仕切る咲月は相変わらずの様子で愛想もなし。
新しい家族の奈緒は世間知らずで恐いものなしで、少し危なっかしい。
少し普通とズレた、そんな日常の温かさ。


――― それが、いつまでも続く本当なのだと思っていた。


九天の空に鳴り響く花火の音は、在ったはずの日常の終わりを告げる。
辿り着いた夜の底で、主人公が見る色は誰の色なのか ―――

人と妖の戦いの最中へと主人公は足を踏み入れた。


 森厳な屋敷に帰る。
 日常の裏に在ったのは妖を狩る一族の真実の姿。
 繋いだ手を抱き続けて、主人公は人と妖の戦いの歴史を知る。

体験版の段階なので全体像がまだまだはっきりとしない。回収されていない伏線もたくさんある。ただ舞台の雰囲気
が良い。古めかしい屋敷とそれを囲む自然の静謐がうまく調和している。またこのライターは色に対する描写にかなり拘っている。鬼灯色、冬色、白磁、穂麦、こういった色の表現が頻繁にでてくる。「白雪姫」のように少女の体の一部を色で代表させて主語にするメタファーも面白い。すでにビジュアライズされている絵に対して、あえてまた色のイメージを言葉で付加することでその色が鮮明にイメージされる。これが物語の雰囲気をより幻想的にしている。DL専売だが、密かに期待している作品だ。