鳥鳴きの森体験版[同人ゲーム]

夏休みを利用して5人の高校生たちは、主人公の祖父の別荘を訪れる。その別荘は山の奥深くにあり、周囲からの干渉を拒否するかのようにひっそりと佇んでいた。祖父は一年前に亡くなっており、今は誰も住んでいない。彼らは単に高校最後の夏休みの思い出にと、避暑もかねて遊びにきたはずが、一年前の祖父の不審な死、祖父が収集していた異端宗教に関連した蔵書、立て続けに起こる怪奇現象、を目の当たりにする。いったい祖父はどういう目的でこの別荘を建てたのか?別荘を囲う森にはどんな秘密が?恐ろしくなって逃げ出す者、好奇心にかられ真実に近づこうとする者、混乱のさなか少しずつ恐怖と真相が忍び寄る。


といった感じで体験版は終わっていて、非常に続きが気になる展開である。私が一番面白いと思ったのは、祖父の蔵書から謎を読み解く一節。この別荘地はとてつもない何か恐ろしいところだ、と分かりつつ、知りたいという欲求を抑えられない。恐怖と好奇心とがない交ぜになるというのが非常に私の好みに合う。古い文献を読み解きつつ真実に迫るというのは伝奇ものでよくあるが、意外とノベルゲームでは少ないんじゃないかな。伝奇といえばこの分野ではどちらかというとバトルものが多いなか、普通の高校生が(中にはラテン語ができるとんでもないやつがいるが)怪奇と接触し、読み解くというパターンは私の知る限り、この分野(ノベルゲーム)では珍しい。ともあれ、完成が待ち遠しい作品だ。


迫りくる怪奇、異端宗教、怪奇を目撃した者が不審な死を遂げる、あるいは狂気に陥るときたらオフィシャルの参考資料にあげられている通り、クトゥルー神話だが、私はラヴクラフト全集1しか読んでいない。こういうのが好きなのに、文章が読みにくくていまいち原点回帰欲が湧かないなぁ。インスマウスの影は手に汗握るほど良かったのは確かなのだけれど。


ちなみに、忌譚という同人ゲームはもろにクトゥルーだ。クトゥルー神話で使われる用語の引用も多い。私はまだ体験版しかプレイしかしていないのだが、体験版ををやった限りでは面白かった。深夜にプレイしていたので、思わず視線を感じてはっと振り返りたくなるようなことが何度かあった。あと、メイドの麟さんが可愛い。おしとやかで主人公に従順。主人公が独りでいるのが怖くなって添い寝を頼むシーンは圧巻!

「朔也様の身の回りのお世話をさせて頂くのが、麟の仕事でございますから」

(略)

「麟は・・・・・・なんでも、してくれるの?」

「はい。朔也様のためでしたら、なんでも」

なんの躊躇もなく即答してきたのに、朔也は驚きを隠せなかった。でも、朔也は素直にその言葉に甘えることにした。

「なら、済まないけど・・・・・・一緒にいてくれないかな。どうにも、独りだと、眠れそうに・・・・・・ない」

「かしこまりました」

(略)

「失礼します」

そう一言断りを入れると、麟は何の躊躇もなく、朔也の隣に潜り込んできた。

「添い寝するだけで・・・・・・よろしいのでしょうか?」


なんともいじらしい。ただし、全年齢向け作品orz。