ゲーデルの哲学 不完全性定理と神の存在論[新書]

ゲーデルの哲学 (講談社現代新書)

ゲーデルの哲学 (講談社現代新書)


主にゲーデル不完全性定理について、専門的な知識がなくてもわかるように、数式を使わずに解説されている。数式が使われていないので、平易なはずなのだが私は本書を半分も理解できた気がしない。不完全性定理を端的に言葉でいうならば、私の中では、「ある数学的体系において、その内部だけでは真とも偽とも証明不可能な命題が存在する」ということになっているのだが。さて。


それよりも私が興味を引かれたのは、ゲーデルが言うには、不完全性定理から導かれる哲学的帰結である。

1・人間精神は脳の機能に還元できない(反機械論)
2・数学的対象は人間精神から独立して存在する(数学的実在論)

1または2、またはその両方が正しい。

直感的には私は1は偽で2は真だと思っていた。まず2に関して。人間が1+1=2だと思うのは、そういう心理的作用があるからだ。だから違う世界では1+1が2以外の何かになるようなこともある。ゆえに数学は心理学の分野に含まれる。なんて昔の偉そうな心理学者が言っていたのを知って、憤慨したのを覚えている。そんなはずあるかと思っていた。別に大した根拠があったわけではないが。1に関しては、人間の精神とはそもそも物質が高度に複雑化して発達したものだから、精神は物質に還元できると信じていた。これが機械論というのかどうかわからないが、世界は合理的にできているのだから、人間精神も合理的なはずだと信じていた。人の心がときに不合理に見えるのはそれは人智がそこまで及んでいないからだと。ゲーデルは両方ではなく、どちらかが正しいということも示唆しながら、個人的には両方が真だと思っていたらしい。不完全性定理からどうして上のような帰結が得られるのか、なにぶん本書を読んだのが数年も前で頭からすっかり抜け落ちている。ネタ探しに本棚から適当に選んだのだが、せっかくだからこの新書を再読するぜ。


[雑記]
電車の中で小学校低学年ぐらいの双子の男の子たちが、フュージョンをしていた。この世代にもドラゴンボールが健在であることに感慨を覚えると同時に、双子なら成功率高そうだなーと思った。